撮影:馬場岳人(朝日新聞出版写真映像部)
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「誰かの幸せが、自分を不幸にすることなんてないのよ」。102歳の現役美容部員、堀野智子さんが語るのは、人と比べずに自分の人生を歩むための“心の整え方”。華やかな人がうらやましく見えることもある。けれど、他人の本当の事情はわからないもの。
 堀野さん自身も、実は「誰にも話していなかった苦労」があったといいます。だからこそ「外から見える幸せに惑わされないことが大事」と語る堀野さんの真意を、堀野さんの最新刊『102歳、今より元気に美しく』(朝日新聞出版)から一部を抜粋・加筆再編集して公開します。

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――堀野さんが、長く人生を歩んできた中で、「人と比べない」ために意識してきたことはありますか? 

 人はみんな、いろんな人との関わりを持って生きています。

 中には自分よりずっとお金持ちの人、能力が上の人、子どもが成功している人もいるでしょう。うらやましく感じ、まぶしく見えるかもしれません。

 でも「本当のところ」は誰にもわからないですよね。

 もしかしたらきついお姑さんで苦労しているかもしれないし、つらい過去を持っているかもしれません。

 みんながみんなあっけらかんと自分を開示しているわけではなく、自分にとって悲しいことやつらかったことは口にしたくないという人もいるでしょう。

 人がどんな事情を持っているかは、ほかの人にはわからないものなんじゃないでしょうか。

 何を隠そうこの私も、お坊ちゃま育ちの主人が部下におごるのにお金を使ってしまい、家にお金を入れてくれなかったという経験をしています。

 だから「私ががんばらなくちゃ!」と思い、それがのちの仕事につながったわけですが、これだって一般的に見れば「とんでもないこと」だと思いませんか?

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