年齢別の平均給与

 アンケートからも「同じ部署に男性がいると、そちらが優先されるということが、普通にありました」(東京都・会社員・52歳・女性)との声もあった。

 平均給与以上をもらっている仕事を見てみよう。転職サービス「doda」による職種分類別の「平均年収ランキング(2024年版)」では、1位が「専門職(コンサルティングファーム/専門事務所/監査法人)」で611万円。2位は「企画/管理系」の566万円。3位は「金融系専門職」の474万円だった。

 doda編集長の桜井貴史さんは「知識集約型で高収益な高付加価値産業が上位にきています。また、経営企画、DX推進といった戦略系の仕事は需要が大きく、報酬が高い傾向にあります」と話す。

 一方、「技術系(メディカル/化学/食品)」は407万円、「クリエイティブ系」392万円、「事務/アシスタント系」350万円、「販売/サービス系」339万円となっている。中には生活を支えるエッセンシャルワーカーも含まれるが、評価されにくいのが実態だ。

 では共働き世帯ではどうだろう。

 マイナビの調査(2024年)では、共働き正社員世帯の平均世帯年収は806万円だった。だが理想の世帯年収を聞くと1126万円で、300万円以上不足しているという。

 さらに、共働き正社員のうち、実に46%が「家計が苦しい」と答えている。家計が苦しいと感じる世帯の平均年収は716.7万円。つまり、700万円あっても、家計が苦しい家庭は多いのだ。

 この数字はあくまでも額面で、所得税や住民税のほか社会保険料などを差し引かれた「手取り」ではもっと少なくなる。光熱費に加えて、コメに代表されるような生活に欠かせないモノやサービスは値上がりしており、家計の余裕はなくなっている。

 山田さんは話す。

「給料の底上げが必要です。今のアメリカが物語っていますが、とても豊かな人がいるけれども取り残されて不公平感を抱く人もいます。社会の安定のためにも、格差が開きすぎることは問題です」

(AERA編集部 井上有紀子)

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