給与別の構成比

「日本総研」調査部・客員研究員の山田久さんは次のように話す。

「いまは食料品価格が上がっており、所得の低い層にしわ寄せがきています。格差が拡大していきかねません」

 実際、1千万円超は5.5%にあたる279万人。2019年は253万人でこの4年間で1千万円プレーヤーは26万人増えている。高所得者が平均値を引き上げているのだ。平均値と別に注目したいのが「中央値」だ。今回の場合、全労働者を年収順に並べた際の真ん中に位置する金額のことで、中央値の方が実感に近いとされている。国税庁は中央値を明らかにしていないが、構成比をみると300万円台後半になりそうだ。

 性別でみると、男性は平均年収569万円、女性は316万円で男女の差は大きい。男性は年齢が高くなるにつれ、年収が増え55~59歳で712万円とピークになるのに対し、女性は年齢別であまり差がみられない。

「男性が仕事に専念して、女性は基本的に家事育児を担う昭和型の家族モデルを前提にしています。男性が長時間労働や転勤を受け入れてきた裏で、女性の職業能力の開発を犠牲にしていた面がありました。見直しが進んできたとはいえ、日本では依然として年功賃金が色濃く残っています。勤続年数や年齢に応じて評価する仕組みを本格的に改める必要があります」(山田さん)

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