
城田優 / 少女A (中森明菜 Tribute Album “明響”)ワーナーミュージックジャパン公式YouTubeより
概念を乗り越え、明菜へのリスペクト
40歳目前の男性が「少女A」に挑戦するためのハードルは、セクシャリティへの“矛盾”だったと続ける。
「考えた結果、城田優39歳・男性が『少女A』を歌うには、どうしてもセクシャリティ的に矛盾が生じる。だけど、いまはLGBTQだったり、多様性という言葉も浸透してきて、複雑化していくなかで、そもそも思っていたセクシャリティ的な矛盾ってなんだろう? 『少女A』を『城田優(39歳)』が歌うなら“こうする”というスタイルの音楽にしようと、まず、音楽プロデューサーのUTAくんと音を作り上げました。歌唱の仕方についても、少女には出せない大人だからこそ出せる色気みたいなものをあえて『少女A』に入れました」
ミュージックビデオは、クリエィティブチームと何日間も朝まで徹夜作業し、編集も何度もやり直し、並々ならぬ熱量と思いで作り上げた作品だそう。そして、城田優は、最後に中森明菜へのリスペクトを語った。
「元々の明菜さんの「少女A」のファンの方からは冒涜だともとれるような世界観でもありますが、僕とクリエィティブチームの中では、明菜さんにリスペクトの気持ちを抱き、『少女A』に愛を持って、本気で向き合いました。心から向き合った結果、城田優という大人の40歳目前の男が『少女A』を歌ううえで、一番面白い世界観を作ったつもりです。それは単なる性別だけでなく、様々な概念を超えていくという思いを感じながら、ミュージックビデオを見ていただけたらさらに嬉しいなと思います」
城田優が表現した世界観は、まさに『少女A』の一節、「何歳(いくつ)に見えても 私 誰でも」の歌詞と響き合う。「少女A」を歌う82年の中森明菜も、当時の“概念”を打ち破ろうとしていたのではと改めて感じるのだった。
(AERA編集部・太田裕子)
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