
――西野さんはクリエーター目線で今回の「罵倒村」という企画をどう見ていましたか?
西野:佐久間さんのお話を聞いていて「なるほど」と思ったんですけど、「罵倒」っていうのがお笑いに興味がない人も引き寄せられるワードなんですよね。今の時代、YouTubeでもバズるのって、誰かが怒られたり、公開処刑されたりしてるようなやつじゃないですか。「罵倒村」も入り口は罵倒なんですけど、最後はちゃんと笑い合ってる。そこがすごいと思いました。
佐久間:今ってみんな怒ってるじゃないですか。その怒りの行き場を「罵倒」という形式にして、お笑いにしたかったんです。そこには2つ狙いがあって、1つは「お笑いを見やすくするための入り口」として罵倒を使うこと。もう1つは、「罵倒にもちゃんと技術が必要なんだ」っていうのを伝えたかったんですよね。面白くない罵倒は、ただのいじめなんで。
――プロの芸人であれば、悪口を言われても受け身を取るそぶりだけして、実際にはダメージを負わないのかな、と思うんですが、渡部さんはどうでしたか?
渡部:おっしゃる通り、プロとして受け身を取ることはできるんですよ。でも、このくらいならいけるって思ってるところで、本当に刺さるのが飛んでくるから油断できないんです。このぐらいやっておけばいいんだよね、って思ってると絶対それ以上のものを返してくるんで、きっちり仕留められる。
佐久間:渡部さんの悪口は、作家と僕と7人がかりで300個ぐらいアイデアを出して、その中から選んでます。
渡部:そういうよりすぐりの話だから、そりゃ刺さるわけですよね。中には「えっ、それ誰から聞いたの?」っていうのもあるし、「そこ言う?」っていうのもある。本当に嫌なことを的確に言ってくるから気が抜けないです。
――MCとして東野さんと森さんを起用した狙いは?
佐久間:東野さんは「これを笑いとして楽しめる人」として絶対外せなかったです。ちゃんと悪意を笑いに変えてくれますからね。そして、女子枠は腹をくくった人じゃないと無理だと思ってました。森さんはもともとテレビ東京の後輩だったし、頼めば受けてくれるだろうなと。

――東野さんは実際にはどうでしたか?
佐久間:最高でしたよ。僕は東野さんの悪いときの笑い方が大好きなんですけど、それが全編2時間ずっとある感じで。YouTube版では僕がリアクターも兼ねてたけど、今回は完全に裏方に回れたのも大きいです。現場での判断も集中してできました。