食事の準備をする前にモノをどかすことから始めていたキッチン/ビフォー

 彼女の家は2世帯住宅で、1階は義母のスペース、2階が彼女の家族のスペース。ダイニングテーブルの上にモノが山積みだったときは、2階のキッチンでごはんを作って1階のダイニングに運び、食べ終わったら片づけた食器を2階まで持って上がっていました。そんな生活を2年ほど続けていましたが、今回の片づけでそれも解消。ムダな時間を費やすことがなくなったのです。

「食事の準備が時短できるようになったのも大きいですね。料理をするときは作業スペースにあるモノをどかしてから、まな板を置いていました。食器も使いたいお皿を探したり……。それが今ではスッキリしたキッチンで、必要な道具をサッと取り出せるようになりました。ものすごく快適!」

 彼女の中で、キッチンがきれいになったことはとても重要なことでした。

「私が家の中で長い時間を過ごすのが、キッチンなんです。キッチンが使いやすくなると、こんなに気持ちが楽になるとは思わなかった! ほかの部屋は子どもたちが散らかすこともありますが、ここだけはきれいな状態をキープすると決めています」

 そして、彼女の変化は家族にも伝わっていきます。夫は朝、子どもを幼稚園に送ってくれるようになり、子どもたちは積極的に家事を手伝ってくれるようになりました。一緒に片づけていると、「これはこの場所に置いた方がいいんじゃない?」と提案してくれることも。家族がチームになっていっていることを実感しています。

「以前は夫との会話は不満や業務連絡ばかり。でも、最近は趣味や旅行の話をできるようになったんです」

モノが定位置に収まり、使った後はすぐリセットできていつも快適/アフター

 かつては限界まで追い詰められていた彼女が未来の話を家族とできるようになったのも、片づけを通してポジティブな考え方が身についたからでした。

「私はやる気がなくてずっと動けなかったんですが、やる気がなくてもやらなければいけないことはたくさんあるんですよね。それならただやる気を待つだけじゃなくて、いかにやる気がなくても楽に動けるか、を考えた方がいいとわかりました」

 これからはさらに快適な家を目指してブラッシュアップしていきたいと語ってくれた彼女。きっとその目には、家族と一緒にきれいな家の中で、笑顔で過ごしている未来が見えているのでしょう。

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