
学校で過ごした時間がそのまま受験対策
海外大学への出願には、国際バカロレア認定校の最終試験のスコアに加えて、パーソナルステートメント(志望動機書)が必要だ。経歴やスキル、経験をつづるもので、通常であれば高校2年の夏から準備を始めたのでは難しいとも言われるが、藤川さんの場合、広島叡智学園で過ごした時間がそのまま受験対策になっていた。
広島大学の研究プログラムに参加し、「シャーペンの芯の折れやすさ」を研究したことがあった。国連の気候変動に関する国際フォーラムにオンラインで参加して、島にある二酸化炭素を吸収する火力発電施設について発表したこともあった。また、大崎上島の海岸での清掃活動をしながら、海洋ごみをテーマとしたアート作品を制作して、展示会を開いた。また、大崎上島の海岸での清掃活動をしながら、海洋ごみをテーマとしたアート作品を制作して、展示会を開いた。
「チャレンジする雰囲気があったおかげで、パーソナルステートメントに書くことは結構ありました。海外大のためと意識していなかったけれど、結果的に準備できていました」
そう振り返る藤川さんは、UCL、キングス・カレッジ・ロンドン、トロント大学などの海外大学に合格。国内でも、北海道大と岡山大に総合型選抜で合格を果たした。
世界のどこにいても通じる人になる
藤川さんは今年9月から、UCLに入学して土木工学を学ぶ。
「研究環境の充実ぶりや国際的なネットワークの強さを魅力に感じてUCLを選びました。環境問題の解決に、工学を使ってアプローチしたいと思っています。モノを捨てるときまでを考えた省エネのプロセスを考えたり、耐久性を増したインフラの構築に貢献したりしたいです」
吉村薫校長は言う。
「一方向の知識偏重の授業ではなく、主体的な対話によって深い学びを行う。本校は世界のどこにいても通用する人になるためにはどうすればいいか、という視点を持っています」
海外難関大学だけではなく、国内でも難関とされる大学に羽ばたいていった生徒たち。彼らの今後に期待したい。
(AERA編集部 井上有紀子)
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