
堂々と悩める時間をお金で買った
今でこそ「学生芸人」として大卒の芸人が注目されていますが、僕の時代は大学を出て芸人になる人はあまりいませんでした。だって、芸人になるだけなら、大学に行く必要はないですからね。
ただ、僕は大学に行ってなかったら、たぶん芸人にはなっていなかったと思います。大学の4年間があったからこそ、今の人生につながっている部分は大きいです。
もしかしたら、大学に行かずに別の道を選んでいたら、もっと幸せな人生があったかもしれません。それでも、「大学に行く」という大義名分のもとで、4年間、「堂々と悩める時間をお金で買った」という感覚です。
もちろん、自分のやりたいことがはっきりしている人は、大学に行かずにそっちに進んだほうがいいと思います。大学は、勉強したい人が勉強する場所ですし、それはとても大切なことです。
ただ、僕の場合は、勉強というよりも、同年代や先輩たちと話をして、いろんな人生観に触れられたことが大きかったです。
浪人している年上の同級生や、かなり年上の先輩もいました。僕が通っていた地元の小・中・高は、同じような環境の人たちが集まる学校でしたが、大学に行ったことで、まったく違う環境の人たちと出会うことができました。
いろんな都道府県の人と話して、生い立ちや人生観を聞く中で、社会の見え方がすごく広がった気がします。だから、奨学金を借りて大学に行ったことは、本当によかったと思っています。
(AERA編集部・古寺雄大)
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