
旅の仲間として、仕事の合間の癒やしとして、堂々とぬいぐるみを持つ大人がいる。かわいいだけではない「ぬい活」の魅力とは? AERA 2025年5月26日号より。
【写真】かわいい! 青いコアラの耳には、白くて長いふわふわの毛が
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我々は巨大なマンモスと遭遇した──。
会社員の30代男性は、この言葉とともに、立派なたてがみの“マンモス”が森を歩く写真をSNSにアップした。
当然、本物のマンモスではない。20センチくらいのぬいぐるみだ。公園の茂みで、腹ばいになって撮影した。
「このマンモスは大人になってから買いました。結構リアルじゃないですか?」
ぬいぐるみと日常を過ごす活動を「ぬい活」という。
ぬいぐるみと旅する「ぬい旅」、旅先や日常の一コマでぬいぐるみを撮る「ぬい撮り」も、SNSで探せば投稿多数。ぬいぐるみによる旅を企画する旅行会社、ぬいぐるみの保育園まである。少子化にもかかわらず、2023年度のぬいぐるみ市場は390億円で、前年度の2割増だ。
「コソコソせずに、ぬいぐるみを連れ歩けるようになった」という声をネット上で目にするようになった。

ムックが異例の売れ方
世界文化社が1月、前代未聞のぬいぐるみだけを特集したムック「nui nui nui! 大人だってぬいぐるみが好き!」を発売したところ、異例の3刷重版となり、3万部を売り上げたという。編集長の宮本珠希さんは言う。
「そもそも狙ったわけじゃないんです」
きっかけは昨年9月。「LaLa Begin」(現在は適時刊行)での「趣味活」企画でぬいぐるみの記事を掲載すると、予想以上の反響があった。
