
実は宮本さん自身も、編集部員やライターたちも、ぬいぐるみ愛を温めていた。宮本さんは子ども時代、ウサギのぬいぐるみとずっと一緒だった。100体以上のテディベアを持ち、自分のぬいぐるみの出身地(購入場所)などをまとめた「戸籍」を作る人もいた。
ビジネスとも好相性
「好きなものを作って、当たって砕けろじゃないですけど、みんなのぬいへの愛情や熱意が自然と一冊になりました」(宮本さん)
発売から3カ月間、読者プレゼントの応募はがきが大量に編集部宛てに届いた。メッセージ、イラストがびっしりと書かれていた。
「こんな雑誌を待っていました」
「年齢を重ねても、ぬいぐるみが好きだと堂々と言っていいんだと勇気をもらいました」
6月の第2弾のムックの発売にむけて動いている。
ビジネスとぬいぐるみは相性がいい。宮本さんは校了前、殺伐としたオフィスで、ぬいぐるみに助けられている。
「頭から湯気が出そうになるとき、コアラのぬいぐるみの耳をなでるんです」
コアラの肉厚の耳には、白くて長いふわふわの毛が生えている。その温もりが、心を癒やし、クールダウンさせる。
編集部には、かつて撮影のために取りよせたドン・キホーテのぬいぐるみ「ドンペン」もある。ギョロリとした目で、いまではオフィスの「守り神」のような存在感を放っているという。宮本さんは言う。
「本物の動物は難しいですが、ぬいぐるみなら社内に置けます。福利厚生でぬいぐるみを1人1体支給してくれたらいいのにと思っています(笑)」
(編集部・井上有紀子)

※AERA 2025年5月26日号より抜粋
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