地方の100円ショップで働いていた主婦が話す。
「ポリ袋にたくさんためた小銭を持ってきて『これで払います』と言ってきたお客さんがいたんです。一枚一枚数えるのが大変だから、『とりあえず機械に入れてみますね』とレジにジャラジャラと入れたのを覚えています。1円玉や5円玉などいろいろ。当時は有人のレジだったので入れ直したり、いろいろ調整したりして何とかできたけれど、今はセルフレジだし、厳しいかもですね」
そしてこう続ける。
「今はドラッグストアで働いているのですが、常連さんで毎回、なるほどと思う支払い方をするおじさんがいます。お釣りで小銭が増えないように、うまくポイントを使うんです。その人は、例えば会計が368円なら360円分はポイントで、8円分を小銭で払って、いつもお釣りがないように工夫しています」
数えるのに時間がかかる
メディアに引っ張りだこで日本一有名なスーパーとして知られる「アキダイ」(東京都練馬区)代表取締役の秋葉弘道さんにも聞いてみた。
「小銭って、やっぱり数えるのに時間がかかるから……困る部分は実際ありますね」
「良かれ」と思って小銭を持ってくる客もいるという。
「おばあちゃんが『両替にはお金がいるだろうから』と善意で1円玉を持ってきてくださる。『小銭をいっぱい持っているからあげる』って言うんです。でももらうわけにはいかない。なので『今数えるからね』って言って数えます。だけど手間なんです。でも善意ですから『ありがとね』とその優しい気持ちを受け止めて、その金額分を両替してお返しすることもあります」
客の中には1円玉を多く使って支払う人もいるが「正直に言えば、それも手間になる」という。
「常識の範囲内であればお受けしますが、常識を超えるようなレベルだとお断りするケースもなくはないです。明らかに時間がかかってしまい、ほかのお客様に迷惑をかけるような場合です」