
落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「YouTube」。
「YouTube」なぁ、そういえばしばらく更新していない。私も一応「春風亭一之輔チャンネル」というYouTubeチャンネルをもっています。2020年のコロナ禍のさなかにYouTubeを始めました。
始めるに至った流れとしてはこんなかんじ。
私は落語(寄席、独演会など)以外のメディア系の仕事はワタナベエンターテインメントに委託しているのですが、あるときマネージャーさんから「YouTubeやりませんか?」と漠然と勧められました。
最初はまるでピンとこなかった。YouTubeに対して「コーラにメントス入れてみた」くらいの雑なイメージしかなかったので、「そんなのくだらねえし、こちとら忙しいんだよ」と思いながら「いやー、別に配信することないす」と軽くいなしていたら、コロナ禍がやってきた。ヤァ!ヤァ!ヤァ!。
落語の仕事はことごとくキャンセル。自由時間はメチャクチャ増えたのだけど、話す場所がまったくない。降ってわいた休みも3日目で飽きました。
「おもしろいですね」
ちょうどステイホームに入ってしばらく経った4月21日から30日まで、私は上野鈴本演芸場でトリをとる予定だったのもすべて中止に。
私「じゃあ、それを生配信なんてできるんですかね?」
マネージャー「できますよ」
私「高座に上がる予定だった同じ時間に、生配信はどうでしょう?」
マ「おもしろいですね」
てな具合であれよあれよと決まってしまった。
コロナ禍において落語の配信が増えて、その「先駆者」みたいな取材を受けることが当時多かったのですが、自分から進んでというより事務所のバックアップありきで始まったのでした。他の若手は自宅で、スマホで、なんとかやってるのに最初から下駄を履かせてもらったようで少し申し訳ないす。