16歳でグラビアを始めたときは、「クールな黒髪ロングのお姉さん」というイメージが強かった。おしゃべりが得意ではなかったため、物静かな雰囲気を好きでいてくれるファンが多かったという/撮影・上田泰世(写真映像部)

人と目を見て話せるようになった

――妹さんとのつながりが世間に知られることになったのは、意図せぬ形だったとお聞きしました。

 撮影会に記者の方が突然やってきて、止めることができないまま記事になりました。妹のことは明かさずに活動してきたのに「売名」と言われたり、「親が違う」という根も葉もないコメントがあったり……。1日5000件ぐらいだったブログのアクセス数は一晩で60万に増えて、怖くて3日間くらい家から出られないこともありました。私もつらかったですけど、家族の心も大丈夫かなと心配でした。

 当時のコメントに比べると、整形へのコメントはほとんどが好意的で、本当にありがたかったです。

――整形って、どうしても見た目のことがフォーカスされやすいと思うんです。でも、ドキュメンタリーやその後の発信を見ていると、有村さんの内面に共感したり、励まされたりした人が多いのかなと感じます。

 整形をしたことで、自分のなかでずっとモヤモヤ考えていたことがクリアになりました。20代後半にして初めて「笑うってこういうことなんだ」って知ったというか。それが本当にうれしくてうれしくて仕方がなくて。自分の視野が広がって、もっといろんなことに挑戦してみたいと思うようになりました。

4歳頃の家族写真は自然な笑顔で写ったものも多かった。だが、16歳ごろから、「笑顔がぎこちない」ことに悩みはじめた/撮影・上田泰世(写真映像部)

――内向的な自分から少し外向的になったことで、行動にも変化はありましたか。

 ずっと塗らなかった口紅を塗ったり、いつも着ない色のワンピースを選んでみたり。スポーツも全然やったことがなかったのに、先日スノボに挑戦してみたんです。全然滑れなかったんですけど、転んで「わはは」って笑って、ああこれが楽しいってことなんだなって。

 自分はもともとが根暗だし、内向的だし、人と話すことも苦手です。でも、ほんの少し明るくなったというか、人と目を見て話せるようになりました。みんなが当たり前にできているように見えることを、私もできるようになったんだって。人生のなかで一番大きく変わったことですね。

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