少しでも金が含まれていれば買い取りの対象となる。1グラム1万7000円台という今こそ、実家のタンスの奥を探して「お宝」を発掘してみるのも悪くない。

「まだまだ金価格は上昇する可能性もありますが、下がるときは一気に下がります。できれば、早めに売却しておくのが賢明かもしれませんね」(同)

さらに勢いを増して上昇

 トランプ大統領の突拍子もない政策によって、突如として金に注目が集まり出したようにも見える。しかし、実際のところ、彼の発言や政策は、あくまで「加速装置」に過ぎない。金融貴金属アナリストの亀井幸一郎氏はこう語る。

「現在の金価格の上昇は、今年になって急に始まったわけではありません。2019年から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行という混乱期から、すでに上昇傾向が見られていました。さらに、22年以降のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、中国などの新興国の中央銀行が金を積極的に購入したことで、価格が押し上げられた背景があります」

 戦争が起これば、金価格は上昇する傾向がある。これは、戦争がもたらす経済的リスクに備えて、投資家が安全資産とされる金を選ぶためだ。そんななか、トランプ大統領が各国に対して高関税を課す姿勢を示したことで、世界的な景気悪化の懸念が広がり、右肩上がりだった金価格はさらに勢いを増して上昇した。

「今でこそ『1グラム1万7000円台』と話題になっていますが、かつては1グラムあたり900円を下回っていた時代もありました。1キログラムで90万円ほどだった時代です。当時は消費税は3%でした(日本では金は消費税込価格で表示される)。それが今では、同じ1キログラムを購入するのに1700万円が必要です」

 23年末の金価格はおよそ1万円。わずか1年4か月で約70%も上昇している。まさに、破格の上昇率といえる。もちろん、これは日本だけの現象ではない。

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