金は単なる「モノ」ではなく、国境を持たない「無国籍通貨」としての側面を持っている。不安定な今だからこそ、実物資産である金を投資や資産保全の手段として購入するのは、ひとつの選択肢と言えるのではないだろうか。

「4月22日に3500ドルまで上がった金ですが、翌日には3270ドルまで下がりました。1日で100ドル以上も下がるような相場は、これまであまり見られませんでした。過去最高値を更新していることもあり、値動きが荒くなってきています。こういうタイミングでは、購入を見送ったほうが賢明でしょう」

毎月1万円ほどを積み立て

 その一方で、海外の投資家の中には、近い将来に戦争が起こると予想して金を購入している者もいる。いわゆる地政学リスクを考慮しての行動だ。もしも台湾有事などが発生すれば、日本株はすぐに売られてしまう可能性が高い。

「個人が資産を守るためには、金ETF(上場投資信託)や純金積立といった選択肢もあります。純金積立は利息が付かないため、資産運用としてはやや特殊な位置づけですが、1000円単位で始めることが可能です。現在は金価格が高騰しているため、毎月1万円ほどを積み立てるのがいいかもしれません」(同)

 金は株や投資信託、債券とはまったく性格の異なる資産で逆の値動きをする傾向が強い。だからこそ、「当面使う予定のないお金を金で保有しておく」という考え方は有効的なのだという。不測の事態に備える金は、守りながら攻める資産でもあるという。

「特に若い人は多額の資産を持ち合わせていないかもしれませんが、例えば『どこかに遊びに行った』と思って、毎月1万円を積み立てておけば、将来的には資産としての価値を保ち続ける可能性があります」(同)

 数千年にわたって人類に「価値あるもの」として認められ続けてきた金が、ますます輝き放ち始めているのかもしれない。

(編集部・古寺雄大)

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