営業CFの細かな項目をみていきましょう。「税引前当期純利益」「減価償却費」「売上債権」「棚卸資産」「仕入債務」など、今までに見覚えのある言葉が並んでいますね。
これらの項目の共通点は、「発生主義(帳簿上の数字)と現金主義(実際の現金の動き)で金額にズレが生じる部分がある」ということです。
例を挙げてみましょう。減価償却は、工場設備など金額が大きなもの(資産)を買ったときに、その費用を複数年に分けて計上していくことでした。しかし実際は、工場設備の費用(代金)は、買った年にすでに支払い終えているのが普通です。
そうすると2年目以降は、損益計算書に「減価償却費」として工場設備の費用を計上しているのに、会社の現金は外に出ていかない、つまり帳簿上の収益(費用)と手元の現金にズレが生じることになります。
営業CFでは、このように発生主義によって算出した会社の利益(税引前当期純利益)から、実際の現金の動きとズレが生じる部分を1つ1つ洗い出して、金額の差を調整しているのです。
②投資キャッシュ・フロー →「将来に投資しているかどうか」がわかる
2つ目は「投資活動によるキャッシュ・フロー(以下、投資CF)」です。
投資活動とは、「固定資産や有価証券などを取得したり売却したりする」こと。つまり投資CFは「会社の将来のためにどれだけ投資ができているか」を示しています。
営業CFに比べ、投資CFが表していることはかなりシンプルです。投資CFがプラスなら、土地や建物、有価証券などを売って現金を得ている、逆にマイナスなら、お金を払って、新たな固定資産を得ているということになります。
さて、ここでひとつ注意していただきたいのが、成長している会社の投資CFは、通常「マイナス」になるということです。
貸借対照表の項目を思い出してみてください。固定資産は「会社の筋肉」であり、売上を生み出す動力源でしたね。