中居氏の問題で最悪のケースはすでに示されてしまった。この問題への対応を誤ったことで、大半のスポンサー企業がフジテレビへのCM出稿をとりやめてしまった。どのテレビ局もそのような事態を招きたくはないと考えているはずだ。

 そのような空気の中で、松本も類似疑惑が取り沙汰された立場でありながら、裁判を自ら取り下げ、説明責任を果たさぬまま現状に至っている。コンプライアンスを重視するスポンサー企業が松本の起用に及び腰になるのは当然であり、テレビ局としても彼の復帰を前提とした番組制作は実質的に不可能になっていた。

残る冠番組は「ガキ使」「水ダウ」

 これでダウンタウンのコンビとしてのレギュラー番組は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』と『水曜日のダウンタウン』の2本だけになる。『ガキ使』はダウンタウンの笑いを見せることをコンセプトにしている番組であるため、そもそも彼らがいなければ成立しない。今後の番組存続は難しくなった。

 一方、『水曜日のダウンタウン』は企画主導型の番組であり、彼らはスタジオでVTRを見守る立場である。松本が抜けてからも番組自体の人気や影響力は衰えていないため、ダウンタウンの看板を外しても存続する可能性はあるが、番組名が変わることはあるかもしれない。

 松本は相方の浜田と共にインターネット配信サービス「ダウンタウンチャンネル(仮)」で芸能活動を今年の夏に再開する予定であることが報じられた。テレビのレギュラー番組が終わっても、芸人としての彼らが終わるわけではない。『ダウンタウンDX』の終了は、「健全なテレビタレント」としてのダウンタウンの終わりの始まりなのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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