
不妊治療の高い支払い額にびっくり
もともと子どもが大好きだった時東さん。結婚したら自然に授かるものだ……と思っていたが、半年たっても兆候が見られなかった。夫は年齢が一回りほど上ということもあり、健康診断も兼ねて検査に行ったのが、不妊治療のスタートになった。
検査をしてみてもお互い何の問題もなかったが、なかなか子どもには恵まれない。人工授精から顕微授精へと移行し、転院もして、トータル4年半。顕微授精3回目でようやく子どもを授かり、22年3月に第1子となる男の子を出産した。
不妊治療に取り組んでみて感じたのは、体力も精神力も削られるということ。さらに保険適用前だったので、治療費の負担も重くのしかかった。
「お金を使って精神を削っているようなものですよね。初めての支払いのときは本当に金額にびっくりしたんですけど、『みんなやってるから顔に出さないでおこう』みたいな雰囲気もありました」
加えて、時東さんの不妊治療中は新型コロナウイルスの影響があり、コロナ前は夫と2人で行っていた病院も1人で行くことになった。これでできなければ保険適用まで待とう、という最後のタイミングで妊娠がわかった。もちろん喜びは大きかったが、妊娠してからの健診も1人で行くことになり、不安が募った。出産当日だけはなんとか夫が立ち会えたものの、「全部1人でやってました」と思い返す。
「だから結婚も含めて、そんなにキラキラしてないですよね。『私、頑張った』という感じです」
つらい不妊治療を続けられたのは、とにかく夫がポジティブだったからだという。
「とにかく、前しか見ていない! みたいなタイプだったので、ずっと励まされてきました。もちろん結果が出てダメだった、という瞬間って1回へこむし、つらい……となるんですけど、夫が励ましてくれるから、帰る頃には元気になってるみたいな感じでした。だから私は、自分の経験も踏まえて、いま頑張っている人たちを励ましたいなって思っています。2人目を考えないわけじゃないんですけど、それよりもみんなを応援しているほうが幸せなのかなと思います」