
「芸能人の反抗期」があった
その意識が変わったのは20歳のとき。今でもはっきりと覚えている。
「そのときの事務所の社長に、『この3年間見てきて、言われたことをこなせるのは十分わかったけど、それ以上を返そうと思ったことはある?』と言われたんです。そんなこと考えたことがなくて……。『怒られないようにこなしていたら大丈夫かな』とか、『早くお仕事を終わらせて友達に会いに行きたいな』っていう発想でずっと仕事をしていたので。だからその言葉にすごくハッとして。『私仕事してるんだ、社会人なんだ』って思った記憶があります」
以降は、「それ以上を返せているか」をすごく意識するようになった。収録をした後、取材を受けた後などに、必ずマネジャーと「これで大丈夫だったか」と話し合い、振り返るようになった。
「そこから生き方とか考え方も変わったなと思います。『もっとできるぞ』『もっと応えてやろう』と思うようになりました」
もともと3歳から9年間クラシックバレエを習い、中高ではバスケ部。さらに陸上や新体操などにも取り組むスポーツ少女だった。
「それ以上を返してやろう、というのはスポーツと通じるところはあるかもしれません。私はスポーツで『きれいに魅せること』と『勝負すること』をずっとやってきた人生だったので、それは芸能の仕事にも生かされているなと思います。あと、根性もですね(笑)。やっぱり最後は、根性と礼儀がある人が勝つような気がします」
一方で、10代から20代の途中までは「芸能人の反抗期みたいなものがありました」とも言う。
「今じゃ考えられないんですけど、移動中まったくしゃべらないとか。周りの音をずっとシャットアウトして、音楽を聴いたりしていました。あとは『明日何時入りです』という連絡が来たときも、『了解しました』も返せないぐらいになったこともありました。『明日も仕事なんて無理無理、何時に帰ってこられるんだろう』というマインドになってしまっていましたね。ただ、ステージに立った瞬間、カメラの前に立った瞬間はモチベーションを保っていました。ファンの方には絶対に暗い気持ちを悟られたくなかったし、実際にファンの方の前に立つのはすごく楽しかったんです。でも一歩楽屋に入ったときは、『一人になる時間をください』という時期がありました」