
高騰が続くコメ市場の店頭に、輸入米が並び始めた。5キロ3千円台と国産のコメより安い。政府は輸入米の拡大をめぐって揺れているが、夏にさらに品薄になるとの見方もある。
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「二穂(にすい)の匠(たくみ)」「むすびの郷(さと)」――。4月下旬、首都圏の大手スーパーに並んでいた、いかにも「和」の名前がつけられたコメ。実は両方とも外国産米だ。価格は5キロ換算で3千円台。4千円台後半が当たり前になった今、割安感から品切れの店もある。
イオン系のスーパーで4月10日から売られているのが二穂の匠だ。米国産8割、国産2割の2カ国のブレンド米だ。昨夏、店舗からコメが消えるという「令和のコメ騒動」があり、消費者への安定供給を考え、企画したという。「米国産米の軽やかさと国産米のふっくら感を両立」させたとのふれこみで、4キロ入りで3002円(税込み)で売っている。
西友は昨年11月から台湾産米「むすびの郷」を関東エリアの店舗に置いている。むすびの郷は日本のコメと同じ短粒種で、ほのかな香りとふっくらとした食感が特徴で国産米に近いという。価格は5キロ入りで3769円(税込み)。
大手スーパー2社が外国産米を取り扱い始めた背景にあるのが、国産のコメの異常な高騰だ。
政府は3月から備蓄米を連続して放出しているが、店頭価格の上昇基調は変わらない。
農林水産省のまとめでは、今年4月7~13日の1週間、全国のスーパーで売られたコメの平均価格は5キロあたり4217円で、前週から3円上がり、15週連続の上昇となった。前年の同じ時期は2100円ほどで、この1年で実に2倍に跳ね上がった。
江藤拓農水相は4月22日の閣議後の会見で「なかなか国民の期待に応えられない。備蓄米を出しても店頭価格が下がらないことについては責任を重く感じており、申し訳ないと思っています」と陳謝した。
国産米の店頭価格はなぜ下がらないのか。備蓄米が十分に行きわたっていない可能性も指摘されるが、消費者のニーズに応えるだけのコメを供給できないことは間違いなさそうだ。今春、どこに行ってもスーパーのコメ売り場では、一部の銘柄が売り切れて空いている棚がある。