
川崎市中原区のワタナベストアー武蔵新城店の佐々木雄大店長によると、今年2月ごろからコメ問屋から入荷の制限がかかっているため、銘柄によっては売り切れて補充が間に合わないことがあるという。
この状況で消費者の頭をよぎるのは昨年夏の経験だ。
2024年は6月に入って品薄感が強まり、スーパーに並ぶコメの量が減った。夏は最もコメの在庫が少なくなる時期で、さらに8月8日の南海トラフ地震の臨時情報で消費者が買いだめに動いたこともあり、お盆過ぎから首都圏のスーパーでコメが消えた。数日で収まるとの見方もあったが、2~3週間コメが買いづらい時期が続いた。
昨年4月の時点で店頭に並ぶコメに大きな変化はなかったが、今年は明らかに少ない。
今年4月21日に川崎市で買い物をしていた女性は「夏が近づき、これからどうなっちゃうのか。今のうちに買っておいたほうがいいのか。でもこれだけ高いと考えますよね」と困惑気味だった。
4月22日に日本記者クラブ(東京)で講演した山形県のコメ農家で「庄内こめ工房」を経営する齋藤一志さんは、2023年産米が夏の猛暑で高温障害が出て、品質、生産とも落ちた影響が今も続いているとの見方を示した。さらに各家庭がいつもより多めに買って家に置いていることも一因になっていると指摘した。
一方、齋藤さんは農家が売るコメの価格は秋の収穫時に決まることを強調し、毎月のようにコメの価格が上がる現状について「便乗値上げだ」と訴えた。
ただ、「この夏、去年と同じように店頭からコメが消える可能性は」という記者からの質問が飛ぶと、齋藤さんは「確実にそういうことになる。総量がない。ふるさと納税に出すとあっという間に売り切れる」と危機感を強めた。
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