そんなある日、かなでさんは舞台の稽古中に、転んで足を骨折してしまう。
「芝居を楽しんでいるときに骨折したから、『ああ、やっぱり私は役者をやっちゃダメなんだ』って、勝手に結び付けてしまったんです。どんどん墓穴を掘っていくんですよね」
こうして悪循環は続き、35歳で離婚に至った。
「今だから笑って話せますけど、時間は必要だったなと思います」
そう言うと、何でもないことのように、ハハハと笑った。
本題はここからだった。かなでさんは、パンケーキを食べる手を止め、唐突にこう言うのだった。
「結婚生活が上手くいかなくなって、父が死んだことも受け入れられなかったし、そのころ、高熱を出したりもして、ちょっと肉体を離れていたんじゃないかなっていう時期があったんですよ…」