自身の半生を語ってくれた(撮影/インベカヲリ☆)
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現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫ります。

【写真】「結婚した後も好きなことをしている自分に罪悪感があった」と語った女性

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 インタビュー場所のファミレスに着くと、石月かなでさん(40代前半)は目の前の高層ビルを見て、驚いたように言った。

「あっ! ここ、昔働いていた場所」

 偶然にも、その日入ったファミレスは、約20年前に働いていたオフィスのすぐそばにあり、当時よく来ていたという。

「パンケーキ懐かしい。一時期ハマったんですよね。やっぱりOLの友達が多かったから」

 注文したパンケーキが運ばれてくると、かなでさんは弾むような声を上げた。小柄な体形も相まって、天真爛漫な雰囲気が漂う。

 彼女は現在、俳優として活動している。といっても、出演しているのは、インディーズ映画や地方コンテンツだ。

 岩手県から大学進学で上京し、新卒で総合職をしていたらしい。もっとも、その期間は2年半と短い。

就職活動で朝の満員電車に乗ったとき、みんなの死んだような顔を見てショックを受けたんです。松葉杖の人が乗ってきても無視で、そういう状況も悲しかった。でも、1年後には自分もそうなっていて、これが一生続くのかと思っちゃったんですよねぇ」

 元々、芝居に興味があったこともあり、退職後は働きながら俳優を目指して活動した。31歳のとき、大学時代から11年間交際していた男性と結婚している。

「彼とは同じ大学のテニスサークルで知り合いました。4歳上ですね」

 11年間順調だった彼との関係は、結婚したとたん上手くいかなくなったという。

「今振り返ると、私が『いい妻にならなきゃ』という気持ちが強すぎてダメになったんだと思います。元々そんなに家事とか得意じゃないのに、彼を支えなきゃみたいに思っちゃって。でも、そうすると不自由を感じるんですよね」

 夫は一流企業に勤めており、妻を養うのは当然と思っているタイプだった。金銭的にも余裕があり、生活に困ることはなかったという。

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