07年高校生ドラフト6巡目で日本ハムに入団した豊島明好
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 今季は楽天ドラフト1位・宗山塁をはじめ、13人の新人が開幕1軍入りを果たしたが、高卒ルーキーは2023年以降3年連続ゼロという寂しい結果になった。かつては王貞治(巨人)、清原和博(西武)、2010年代以降では大谷翔平日本ハム)ら高卒1年目で開幕1軍を勝ち取った後の名選手も多いが、その一方で、2年目以降に伸び悩んだ選手も存在する。

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 2000年にドラフト6位で広島入りした苫米地鉄人もその一人だ。山梨学院大附の185センチ右腕は、同期のドラ1左腕・河内貴哉(国学院久我山)が即戦力の期待を担ったのに対し、当初は「3年ぐらいで1軍に出てくれば」(渡辺秀武スカウト)という評価だった。

 だが、「目立つためには最初から飛ばしていくつもりだった」と正月も返上してトレーニングに励んだ甲斐あって、2月23日の紅白戦では、高校時代の最速142キロを更新する147キロをマーク。同27日、巨人とのオープン戦でも6回にリリーフすると、清原和博をスライダーで空振り三振に打ち取るなど、1イニングを無失点に抑えた。広島から巨人にFA移籍した江藤智にブラッシュボールを投げ、「当ててもいいと思った。仲間じゃないし」の大胆発言も話題になった。

 初先発した3月12日のオリックス戦では2回7失点と打ち込まれたが、達川晃豊監督は「とにかく最初に1軍で経験を積ませたい」と惚れ込み、開幕1軍投手枠11人の中に加えた。高卒1年目投手の開幕1軍は、球団では1982年の高木宣宏以来18年ぶりの快挙だった。

 同期のライバルに先んじてチャンスを掴んだ18歳は「目標は大きく160キロです。ファンの方に早く僕の名前を覚えてほしいですね(笑)。苫米地(とまべち)を読めるようになってください」(週刊ベースボール/2000年3月27日号)とプロでの飛躍を誓う。

 そして、開幕3戦目の4月2日の巨人戦。5回からリリーフした苫米地は、5万5000人の大観衆にも緊張することなく、6回に仁志敏久、元木大介を連続三振に斬って取るなど、2回を3奪三振のパーフェクトに抑える。さらに同9日の阪神戦でも、8回を無失点に抑えた直後、前田智徳の逆転満塁弾が飛び出し、うれしいプロ初勝利を手にした。

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