『障害のある子が生まれても。』(1760円〈税込み〉/A-Works)重度障害のある娘を育てる著者が、娘の病気や障害を告げられ、不安でいっぱいだった過去の自分や、いま絶望を感じている人に向けて、「絶対、大丈夫」と背中を押してくれる一冊。著者がもがきながら見つけた、希望を持たせてくれたヒト・モノ・コトも紹介。手に取ると穏やかな気持ちになれる優しいデザインで、著者の思いが随所に詰まっている

 著書では、さくらさん自身の障害に対する固定観念をアップデートさせてくれたヒト・モノ・コトを紹介。絶望のふちにいた頃から少しずつ考え方を変化させていった心の軌跡をたどることができる。

 本の冒頭は「Dear 2010年9月27日のわたしへ」というメッセージから始まる。日付は次女が生後6カ月で筋ジストロフィーの疑いと診断された日。そしてこの文章は22年11月にオーロラを見たいという夢をかなえるために、単身でノルウェーに行った帰りの機内で書いたという。

「障害のある子を育てる親は、自分の人生を生きちゃいけない、という偏見にとらわれてしまいがちです。特に、母親は健康に産めなかったという罪悪感もあって、休むことなくケアを背負い続けてしまう。でも、それこそが『障害児を持ったら不幸になる』という雰囲気を作ってしまう」

 親自身が自分を大事にするにはどうしたら? さくらさんは本書に〈まずは「尿意に素直になる」〉と書いた。

「自分のことを後回しにしていると、我慢することがくせになってしまう。重度障害のある子の親こそ自分を愛(め)でて」

「障害のある子の親=不幸」という偏見を壊してきたさくらさん。

「真心には、何かいいことがあったら報告したい人がいっぱいいて、一緒に喜んでくれる人がたくさんいる。この子は孤立と無縁。それって豊かで幸せな人生だと思うんです。あたりまえの毎日で幸せを感じられる私自身も、心の底から人生を楽しめています」

(編集部・深澤友紀)

AERA 2025年4月14日号

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