
早慶上智、GMARCH……。名のある大学を卒業したのに、大手企業を就活で目指さない、若者が増えている。いまどきの若者の最優先事項とは何か。
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奨学金返済が最優先
「ブラック企業でなければどこでもよかったんです。奨学金返済が最優先なので。最終面接まで進んだ際は、インターネット上に書かれている『ブラック企業の特徴』をチェックしました」
そう語るのは2024年春に早稲田大学を卒業し、地方のメーカーで働き始めた明子さん(仮名・23歳)。希望する仕事ではなかったが、目の前の不安を早く解消したかったという。
「借りた総額は300万円で、貸与利率は1%未満。奨学金を肩代わりしてくれる企業も検討しましたが、それが足枷になって『辞められなくなる』のも嫌だったんです」(明子さん)
まだ、入社2年目ということもあるが、土日はちゃんと休めて、大した残業もなく、必要最低限の給与はもらっているため、それなりに満足している。ステップアップしたいという気持ちは、「今のところない」という。
明子さんはこう語る。
「仕事のせいで体調を崩し、奨学金を返済できなくなれば社会に出た意味がありませんから」
売り手市場で「困っていない」
就職情報会社キャリタスによると、2025年春卒業予定の大学生(理系は大学院生を含む)の内定率は、2024年10月時点で調査開始以来最高の93.1%に達した。いわば、空前の売り手市場だ。
『就活の社会学 大学生と「やりたいこと」』(晃洋書房)の著者である追手門学院大学の妹尾麻美准教授は、就活環境の変化をこう分析する。
「少子高齢化社会の日本では、労働力が圧倒的に不足しています。リーマン・ショック後の2010年代の『何十社も応募して、何十社も落ちる』という状況とは違う。企業は『応募者が集まらない』と嘆いていますが、学生たちは就活であまり困っていないのです」
そんな環境下で、有名大学の学生たちは、少しでも条件のいい会社を目指してしのぎを削るのか――と思いきや、そうではないようだ。前出の明子さんはこう話す。
「一人ひとりにリクルーターが付き、企業側がリクルーターを通じて学生を紹介してもらうことが増えています。つまり、努力しなくてもリクルーターが『いい感じ』の会社の面接まで進めてくれるんです」