
来場者 私には13歳の娘がいて、政治にも関心を持っている。その娘が、都知事選のとき、X(旧ツイッター)のアルゴリズムを背景に石丸さんのような人が目立つようになったのを面白いと感じているんです。なんだか、面白そうなことをやってくれそうだって。あと5年で選挙権を持つ世代が、そうしたアルゴリズムの力で考え方が偏ってしまうことが恐ろしいと思う。その状況で投票率が挙がったらと思うとなおさらです。
和田 これってどうしたらいいと考えます? アルゴリズムによって思考の傾向が操作されるかもしれない、ということですよね。自分は自分で考えてるつもりだけど、実は流れされている。
小川 AIエンジニア・安野(貴博)さんと対談したときに話していただいた言葉の受け売りで恐縮なんですが、「今後、アルゴリズムをどう設計するか次第で、民主主義は危険にも健全にもなるだろう。だからこの先、AIやSNSの設計がすごく重要になってくる」と。
それに、僕の党関係の若いスタッフたちは、「僕ら世代はSNSに対するリテラシーを持ってますから」って堂々としてるんです。「むしろリテラシーがないのは高齢者です」と。
若い世代は、SNSにも大手メディアにも、ちゃんと猜疑心を持っている。しかし、高齢者はそうはいかない。「大手メディアのことを妄信しているし、大手メディアを見るような目でSNSも見ている」って言うんです。
大手メディアもSNSも、人の思考には大きく影響を与えるわけですよ。だからこそ、自分と対極の立場を想像して考えてみることが大事なんだと思うんです。相手はなぜそう考えるようになったのか。背景には何があるのか。今なら、たとえば財務省解体を叫んでデモしてる人たちと、僕も一度、冷静に話をして見たいと思っていますよ。
和田 おお。それはでも、話し合いになるかな。
小川 っていうのはね、最近、ひろゆきさんがだいぶ変わってきたなと感じてるんですよ。全然かみついてこないし、話も聞いてくれる。冷静に受け止めてくれるから、話がかみ合うんです。
和田 いや、私は相変わらず懐疑的ですけどね。彼は社会的に立場が弱い人を小ばかにして、差別的だと思う。小川さんとは、対立しても話し合えるけど、それは小川さんが人を小ばかにしたりしないからですよ。私はひろゆきさんなんかとは、絶対に話せません。
小川 そこ! そこなんですよ! その「とてもこの人とは話せない」と思う相手と、どれだけ話せるか。そこを乗り越えてほしいんだよね。
和田 無理なものは無理でしょう。私は絶対に話したくない。リハックとかって、いかにうまいこと生きるかを優先する人とは話せないです。ここはかみ合わないですね。
小川 そこを乗り越える試練が、今、人類に問われてるんだと思います。そうじゃなきゃ、「話せる人」と「話せない人」というカテゴリーに分けることになっちゃうでしょ?
和田 この議論について、どう思います? 大島さん。
大島 これについては、小川さんの言う通りだと思いますよ。私も和田さんと同じく、ひろゆきさんのことをよく思っていません。沖縄の辺野古ゲート前で彼がやったことについては、今も許せない気持ちがあります。だけど、小川さんは政治家なので、先ほども言った60点、もっと言えば51対49のせめぎあいの中にいる人です。だからこそ、考えの異なる人と話し合うのは、意味があることだと思います。
小川 意見や主張の違いを超えたところで、人というものをどこまで信頼できるか、にかかってるんじゃないかな。人は必ず分かり合えるものだ、っていう信仰に近い。決心、決意と言ってもいいですが。