広島・北別府学(写真提供・日刊スポーツ)
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 春の珍事と呼ばれるように、プロ野球では下馬評がそれほど高くなかったチームが開幕から白星街道を驀進し、「もしや」と思わせた例も少なくない。序盤戦であっと驚く旋風を起こし、ファンにつかの間の夢を見させてくれた3チームを紹介する。

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 前年まで4年連続最下位から一転前半戦の主役になったのが、2002年の阪神だ。

“闘将”星野仙一監督が就任し、“負け犬根性”の払拭を図った同年、阪神は開幕前の予想では、大本命・巨人を追う広島、ヤクルトに次ぐダークホース的存在とみられていた。

 ところが、3月30日の巨人戦で開幕投手に抜擢された22歳の井川慶が1失点完投で、12年ぶりの開幕戦勝利をもたらすと、勢いに乗って巨人に連勝。さらに横浜を三タテして64年ぶりの開幕5連勝を飾ったあと、4月5、6日のヤクルト戦でも連勝し、球団タイ記録の開幕7連勝と驚異のロケットスタートを実現した。

 4月7日のヤクルト戦では、1点リードの7回にペタジーニに逆転満塁弾を浴び、連勝が止まったものの、星野監督は「7つも勝ったんやから、とりあえずは選手を褒めてやらにゃいかんな」と負けても余裕の表情だった。

 その後も4月10日の広島戦で、0対0の9回に今岡誠が劇的なサヨナラ弾を放ち、開幕10試合で9勝というNPB史上15球団目の快挙を達成するなど、6月中旬まで首位を守った。

 だが、サッカーW杯開催に伴う変則日程(日本の試合がある日は試合を行わない)で、投手陣に余裕ができたはずの6月15日から28日にかけて、まさかの“投壊”で泥沼の8連敗を喫し、開幕以来の旋風も終わりを告げる。

 さらに主力野手の負傷離脱が相次いだ8月下旬から借金生活に入り、最終的にBクラスの4位でシーズンを終えた。

 だが、8年ぶりの4位浮上で長い暗黒時代を脱出した阪神は、翌03年は金本知憲のFA加入などの補強も奏功し、18年ぶりのリーグ優勝を実現した。

 開幕ダッシュに成功したのに、終わってみれば最下位という皮肉な結果に泣いたのが、1993年の広島だ。

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