こうした事態は続いており、マクマートリーさんは「トランプ大統領とマスク氏は、こうしたケースを使ってNLRBは違憲だと言おうとしているようだし、この間に、労働法制が弱められる可能性があると思っている。ある意味で、僕たちの労働組合は、いまの法律を武器としているわけではないともいえるので、政権下での影響は少ないのではないか」と話した。
AWUの場合、ほかの米国の全米自動車労働組合(UAW)などと大きく異なるのは、米国の法律下で、雇用者との団体交渉権が認められていない点だ。団体交渉権を得るには、米政府のNLRBの監督下でおこなわれる従業員投票で、過半数の支持が必要だが、AWUは過半数支持に至っていない。団体交渉する単位で労働組合を結成するのが一般的だが、AWUは、「利益の最大化より、社会の幸せや環境を優先しなければならない」と掲げ、非正規も含めたグーグル社員と下請けで働く従業員ら1400人が参加し、結成したかたちだ。下請け社員も含めて労働組合を結成するのは「業界構造が見えることが大事。自分の仕事の領域以外も理解して、ともにたたかうため」(マクマートリーさん)だ。
こうした理想を掲げながらも、現実的な面もある。下請け企業のなかで、過半数の支持が得られれば、その企業内労働組合は団体交渉権を得て会社と交渉し、必要な待遇改善を進めている。公正さを掲げる労組として、ともに闘う姿勢を貫いている。
トランプ政権は始まったばかりだ。今後についてマクマートリーさんはこう語る。「あれこれ心配しても仕方ないし、実際、何か直接的にできることはない。だから、自分たちができることに集中したい方がいいと思っている。それは、トランプ氏が負けていても変わらなかったが、まずはもっと同僚たちに労働組合に関心をもってもらい、組合員を増やし、労働組合として力をつけていくこと。そして実際に職場に変化をもたらしていくことだ。結局は組合員を増やし、力をつけていかないと、自分たちにとって意味があると思えることをしたり、億万長者のやろうとしていることに対抗したりすることはできない」
(藤崎麻里)