これはグーグルに限った話ではない。英ファイナンシャルタイムズは今年2月下旬、「トランプ大統領とともに、シリコンバレーのアクティビズムを止めようとするテック業界の巨人たち」と題した記事を出した。
その中では、すでにフェイスブックなどのサービスを提供しているメタで市民権やESG(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governanceの頭文字を取って作られた言葉。企業が長期的に成長するため必要とされる観点)担当だった役職者たちが退職していることや、グーグルではLGBTQイベントなどのための社内イントラサイトがなくなったことが書かれている。メタでは、社内の情報を報道に話したことがわかったら解雇されるということが強調されるなど、シリコンバレーでは多くの人が職場で問題児として見られることや職を失うことを恐れ、沈黙しているといった実態がつづられている。
イーロン・マスク氏「スペースX」との訴訟では
対立は、シリコンバレーや各社内にとどまらない様相だ。ロイター通信などによると、労働関係法を執行する連邦政府の独立行政機関「全米労働関係委員会(NLRB)」は、行政法判事と5人の委員は大統領による解任が難しいため、その組織自体が違憲だとして、マスク氏の宇宙開発会社「スペースX」側から提訴されていた訴訟があった。その訴訟で昨夏、テキサス州の連邦地方裁判所(オルブライト判事)は、スペースX社の不当労働行為に対し、NLRBの行政手続きの一時的な阻止を認めた。労働分野を専門とするマット・ブルーニグ弁護士が作った解説サイト「NLRB Edge」によると、オルブライト判事は共和党支持だという。