


「進化系」は、「あん」に使用するのが豚だけでなく鶏、牛、さらには羊、鴨、猪、鹿などいわゆるジビエと呼ばれる種類の肉も使用する。調理も蒸すだけでなく「焼き」「揚げ」「水(煮る)」などがあり、なかでもパリッと焼き上げられた「焼きシュウマイ」は、焼き餃子顔負けの香ばしさ、ジューシーさが味わえる。皮も刻んだ小麦粉の皮や卵焼きが表面にまぶしてあったり、餅米や黒米などでコーティングされていたりするものもある。これらは一部中国料理の点心の技法を取り入れているようだが、従来の薄皮で包んだシュウマイにはない食感、そして肉の旨みを引き出している。
東京生まれ福岡育ち
私が調査したなかでは、シュウマイを専門または主役にする飲食店は、2015年時点では全国に2軒しか存在しなかったが、2025年1月時点では141軒にまで増加。焼き餃子や小籠包の専門店に比べればまだまだの数だが、飲食業界において一定の存在感を示しつつあることは間違いない。
特筆すべきは、焼き餃子や小籠包の店舗は1社が複数店舗を展開する「チェーン型」が目立つが、シュウマイは「焼売のジョー」「焼売酒場なかめ」「焼売酒場いしい」など一部「チェーン型」はあるものの、大半は独立系のオーナー店舗で構成されている。店舗の数だけシュウマイの「多様性」があると言えるのだ。
「進化系シュウマイ」のはじまりは、2015年、東京・駒込で開業した「野田焼売店」。私の調査のなかでも「シュウマイ」を店名に冠し、それを主役に据えた初めての飲食店だ。その後3年を経て、2018年に福岡・天神で誕生した「焼売酒場いしい」により、シュウマイをメインにお酒を楽しむ「焼売酒場」スタイルが、全国に広がり始める。