新幹線を走らせている西日本旅客鉄道や東海旅客鉄道については、今年に入って鮮明になったインバウンド(訪日外国人旅行者)の回帰も追い風となっている。全国でビジネスホテルやリゾートホテルを運営している共立メンテナンスもしかりだ。
「特に台湾や韓国、東南アジアからのインバウンドが激増中です。4月以降は中国人観光客もワクチン接種証明があれば、簡単に入国できるようになり、足元でさらに加速しています」(窪田さん)
好業績であることを納得しやすい(1)に対し、(2)はその理由がなかなかピンとこないかもしれない。海外ではインフレ抑制のための急速な金利上昇が足を引っ張り、シリコンバレーバンクの破綻やクレディ・スイスの身売り(同国最大手行による救済合併)などが発生している。
「しかしながら、国内では黒田(東彦)日銀前総裁が金融緩和政策をほぼ維持してきました。一方で、経済活動の再開とともに貸し出しも増えています」(同)
■不祥事企業も復調
続いて、(3)に該当するのは日野自動車とレオパレス21だ。前者は昨年3月に国内向けエンジンの排出ガス・燃費の性能を偽る不正が発覚し、業績が悪化した。窪田さんは指摘する。
「国内事業は不正発覚に伴う出荷停止が大打撃だったものの、海外のトラック事業が堅調だったのに加えて、為替相場で円安が進んだことも奏功しました」
アパートの建築請負・賃貸を展開するレオパレス21の不祥事とは、18年に発覚した19万5千戸もの悪質な施工不備だ。同社が手掛けた物件の入居率は急激に低下し、コロナ禍では法人契約の打ち切りも多発して20年には採算割れの70%台まで低迷した。リストラなどを進めた結果、ようやく21年3月期の後半から入居率が回復傾向にある。
■銀行は前期がピークか
残る(4)は、資源価格の高騰が業績拡大に寄与している企業だ。その代表例は非鉄金属大手の三菱マテリアルで、アルミ製などの飲料缶を製造する東洋製罐グループホールディングスも同様。また、帝人が得意としている炭素繊維や、日本触媒の高吸水性樹脂(紙オムツの吸収体)も、石油由来の製品である。
さて、ここまで駆け足で四つのパターンについて説明してきたが、気の早い株式市場は過去の結果だけでなく、将来にも関心を向け始めている。先述したように、大半の上場企業は前期の決算発表時に今期の業績予想も公表する。先述のランキングに入った企業は、今後も業績の拡大を維持するのだろうか? 窪田さんはこう答える。