AERA 2023年4月24日号より
AERA 2023年4月24日号より

 間もなく上場企業の決算発表が本格化する。各社の業績予想に対する進捗率を分析すると、好調な企業には四つのパターンがあった。AERA 2023年4月24日号より紹介する。

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 今や多くの企業は国境を超えた事業を展開しており、グローバルスタンダードである12月決算に移行するケースも増えている。とはいえ、依然として日本企業の間で主流を占めているのが3月決算だ。春の大型連休が間近に迫ると、今年もその決算発表シーズン(4月下旬~5月中旬)が始まる。

 果たして、2022年度(23年3月期)における日本企業の業績はどのような状況だったのか? 実は、フタを開ける前から想定以上に好調だったことが分かりきっている企業が少なくない。ほとんどの上場企業はあらかじめ業績予想を公表しているが、左記の表に掲載した16社は、それを上回ったことが確定している。

 なぜなら、いずれも進捗(しんちょく)率が100%を大幅に超えているからだ。進捗率とは、四半期決算ごとに公表している数値。通期(1年間)の業績予想に対し、その時点で実績がどの程度まで達しているのかを示したものだ。

 左の表は、時価総額(株価×発行済み株式数)が1千億円以上で、第3四半期(10~12月)までの進捗率(経常利益ベース)が120%以上に達していた企業のランキングである。トップの西日本旅客鉄道は約443%で、すでに事前予想の4倍超もの業績を達成している。通期の決算発表では第4四半期(1~3月)の分が上乗せされるので、さらに伸びることはまず間違いないだろう。

■上振れ企業を分析

 このランキングを作成してくれた松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎さんは、ランクインした企業の傾向について、次のように分析する。

「進捗率が高かった企業の多くは、(1)経済再始動関連、(2)銀行株の一部、(3)不祥事からの回復、(4)資源関連といった四つに分類できます。まず(1)に該当するのは西日本旅客鉄道や共立メンテナンス、小田急電鉄、東海旅客鉄道、京浜急行電鉄です」

 鉄道各社に関しては、コロナ禍におけるテレワークの普及に伴い、経済活動が本格的に再開した後も需要が落ち込むとの見方が多かった。こうしたことから、業績予想もかなり保守的な内容に。ところが、実際には出社勤務や出張などを再開させる企業が意外と多かったことから、躍進につながったという。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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