わたらせ渓谷鐵道:わたらせ渓谷鐵道・神戸駅の周辺にはたくさんの花桃が咲く(写真:みどり市観光協会提供)
この記事の写真をすべて見る

 車窓に広がる春と地元の食材を楽しめる鉄道旅。お薦め路線はどこか。鉄道好きで知られるタレントの村井美樹さんに聞いた。AERA 2025年3月24日号より。

【写真】青空と一面の菜の花畑の中を走る「房総里山トロッコ」はコチラ

*  *  *

 NHKの鉄道クイズ番組「鉄オタ選手権」や、テレビ東京「水バラ」の人気企画「ローカル路線バスvs.鉄道乗り継ぎ対決旅」にレギュラー出演。鉄道への深い愛と知識がお茶の間を賑わす村井美樹さんは鉄道旅の魅力をこう語る。

「車窓に集中できるのが一番の魅力です。車だと目がいかない細部までじっくり味わえる。それに、同じ路線でも季節や天気で景色が変わるので、乗るたびに新しい発見があるんです」

 百花繚乱の春は旅をするにもいい季節。桜の満開期が1週間ほどで過ぎ去っていくように、春旅のベストタイミングを見定めるのは難しい。それでも、風を感じながら花を楽しめる路線が好きだという。

 まず、わたらせ渓谷鐵道。群馬から栃木にかけての山間を貫く、トロッコが人気のローカル線だ。渓谷を縫うように進み、レトロな駅舎が出迎える。四季折々の絶景があり、春の一時期は満開の花桃と桜を同時に楽しめる。

「風を感じて、花の香りをかいで、目で見て、五感で春を楽しめる路線です。満開の花桃と桜は今までで一番の絶景体験だったかもしれません」

 桜色のわたらせ渓谷鐵道に対して、菜の花色が心和ませてくれるのが小湊鐵道だ。千葉県の五井駅を起点に、房総の山を登って養老渓谷を越え、上総中野まで。週末や祝日を中心に運行される観光列車「房総里山トロッコ」は客車の窓が開放され、天井はガラス張り。レトロなデザインの機関車に引かれながら、青空と一面の菜の花畑の中を走っていく。

「時期が合えば菜の花と桜の競演も。里見駅では地場の野菜を使ったバーベキューができて、それも本当に最高なんです」

 3路線目は、「富士山に最も近い鉄道」富士急行線。車窓から見える富士山の大きさにはいつも驚かされる。4月中旬から5月下旬の「富士芝桜まつり」も圧巻だ。鉄路だけでアクセスはできないが、河口湖駅から会場の富士本栖湖リゾートまで、この時期に限り直通バスが運行される。赤、桃、白、紫の絨毯は言葉を失うほどだという。

「行った先々も、移動中も楽しめるのが鉄道です。私は史跡巡りやこけしが好きですが、趣味との橋渡しの手段でもある。やっぱり、鉄道の旅が好きだなぁ」

(編集部・川口穣)

AERA 2025年3月24日号

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼