中国系の企業が開発し、犯罪組織も流入してきたミャンマー東部のシュエコッコ=2025年2月21日、タイ・メソトから
この記事の写真をすべて見る

 ミャンマー・タイ国境地帯の中国系犯罪組織の拠点で、中国人を中心に1万人以上の外国人が監禁され、特殊詐欺を強要されていたことが連日報道された。また、「ルフィ」を名乗り、強盗事件を指示したとされる特殊詐欺グループは、フィリピンを拠点にしていた。犯罪組織の東南アジアの拠点が明るみにでるなか、筆者は台湾の匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の取材に向かった。台湾にも日本人をターゲットにした特殊詐欺の拠点があり、各国で起きている詐欺犯罪とのつながりがあることが見えてきた。

【写真】台湾の半グレ「街頭」のリーダーはこちら

* * *

 日本人の旅行先として人気がある台湾。各地にあるオールドストリートと呼ばれる昔ながらの街並み「老街」の景観や、屋台が並ぶ夜市など、独自の魅力が多くある。基本的なスタンスとして親日であることも、日本人にとっては大きなアドバンテージになることがある。

 そんな台湾に長く住み、以前から筆者と交流のある企業経営者の男性A氏から、

「日本の裏社会の情報に強く、解説してくれる日本人ジャーナリストを探している」

 との連絡があったのはちょうど1年前だった。

筆者の身分証を送ってほしいと依頼者から連絡

 A氏は、現地では顔が広く、さまざまな方面からコンタクトがある。今回は、台湾のいわゆる“グレー”の界隈から頼まれた話だったようだ。

 筆者は、すぐに自分が行く意思を告げた。依頼者側がチケットを用意すると言ったのだが、それは断り、数日後に台湾行きのチケットを自分で入手した。

 台北市内の松山空港に着くと、タクシーで指定されたホテルに向かった。そこでA氏と会い、その日に依頼者らと打ち合わせをすることになっていた。

 筆者とA氏はホテルに隣接するカフェでコーヒーを飲みながら依頼者からの連絡を待っていた。しかし、しばらくしても連絡はなく、電話しても出ない。ようやくA氏に電話がかかってきたと思ったら、「(筆者の)身分証を送ってほしい」と言われたのだ。

次のページ
オンラインカジノの手伝いを……