
読み進める際に大事なのが、主語を見失わないようにすること。英語は難しい文になればなるほど、主語と述語が離れていたり、主語が言い換えられていたり、文芸作品などは間に注釈も入ってきたりするので、主語を見失いがちです。たとえば主語だと思っていたものは複数形だったのに、動詞が“has”になっていて「あ、主語が違っていたんだな」と気づくこともあります。そういった情報を手がかりに主語を探して明確にしておくと、英文を理解しやすいと思います。
また、略して書かれていることが結構多いのも落とし穴かもしれません。たとえば、以前に読んだニュース記事では「ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港(Ronald Reagan Washington National Airport)」が「National」とだけ書かれていたことがありました。文脈で判断するしかないのですが、私もそういうときは何度か読み返し、何を指しているのか気をつけながら読んでいます。
Q. 原書初心者におすすめの英語の本は何かありますか。
A. 英語のレベルにもよるかと思いますが、児童文学は入りやすいですよ。私は『不思議の国のアリス』が好きでしたね。『チョコレート工場の秘密』などのロアルド・ダール作品もおすすめです。英文も読みやすいですし、楽しく続けられます。
また、伝記のような実在の人物の人生を描いたものも読みやすいです。たとえば、ITに興味があるならスティーブ・ジョブズ、ファッションが好きならアナ・ウィンターなど、自分が興味のある分野や業界にいる人の人物伝だと面白く読めると思います。
好きな映画やドラマの原作もいいですね。いま私が読みたいと思っているのは、映画「クレイジー・リッチ!」の原作。原作は3部作で、映画の“その後”も描かれているようなので気になります。先に映像作品を見ていれば物語の大筋はわかっているので、英語で読むのも苦にならないと思います。
英語の本はストーリーがわかっているものからはじめるほうが断然入りやすいですが、内容を知っていれば何でもいいというものでもありません。たとえば、英文学や演劇を学んでいるわけでなければ、シェイクスピア作品の原書にはなかなか手を出せなかったり……。いわゆる古文の世界ですから、原文は難しくて私も読めません(笑)。もしトライするなら現代語訳された本を読むほうが個人的にはいいと思います。
構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS