佐藤さんは「自分は結婚もしてないけど、産みたいって気持ちは本物」だという。
「妊娠・出産経験のない適齢期を過ぎた30代のいわゆる“おひとり様”が、“一人で勝手に卵子凍結をしてみたよ、この歳で今更いろいろ知ったよ、もう産めないかもしれないけど子どもほしくなったよ、なにか文句ある?(笑)”という内容を、世に出したかったんだと思います。卵子凍結をすることも、子どもをほしいと思うことも、まったくもって個人の自由なんだよ、と発信することで、たとえ子どもができなくたって、産めなくたって、人生は全然大丈夫なんだと自分の中で結論付けたかったんですよね」
胸がすく思いがした。同時に猛烈に共感し、励まされた。そうだ、人生、子どもを産めるか産めないかが重要なわけではない。そんなことより、自分が正々堂々と、明るく楽しく人生を生きられるかどうかの方が、よっぽど重要だ。そんなごくシンプルで当たり前のことを、タイムリミットのせめぎ合いにいる女性自身が言える強さたるや。
『-196℃の願い 卵子凍結を選んだ女性たち』は、朝日新聞出版公式note「さんぽ」で3月31日13時まで、全文無料公開中。
https://note.com/asahi_books/n/n701747b8afcd

