
愛はお金では買えない
――母としてもアーティストとしてもHANAのプロデューサーとしても多忙な日々を送る。
ちゃんみな:ふと娘を見て「もうこんなに大きくなったの?」と思うことがあります。目の前のことでいっぱいいっぱいで立ち止まっている時間がなくて、ライフステージの変化をあまり実感していません。
ただ、時間はお金で作れるし、お金は時間で得られます。でも愛はお金では買えない。そこに自分を費やして、新しく人を雇ったり、いろいろな調整をしてバランスを取りながらお仕事させてもらっています。
――差別や偏見を歌詞にして発信してきた。自身のルーツについて歌った23年リリースの「RED」では自身が受けた人種差別を綴ったが、憎しみを愛のメッセージに変えた。
ちゃんみな:結局悪も善も自分に返ってきます。これまで最悪な経験をたくさんしてきましたが、最高な経験もたくさんあります。経験は自信を生み、憎しみを愛に変える。人から棘のある言葉を向けられた際、自分に自信がある時とない時では感じ方が大きく違います。自信があれば棘を跳ね返せますし、あとから自信がつけば昔の棘を跳ね返せるんです。
ワクワクする方を選ぶ
自信を持つことは本当に大変なことです。自分を信じると書いて「自信」ですが、「自分」って自分だけのことじゃないんです。自分を形成している家族や友達といった愛情を注いでくれる人たちも含めて「自分」。自分が死んだら悲しんでくれたり、自分が成功したら喜んでくれる人たちのことを信じることで自信が生まれる。ただ、世の中には信じていい人と信じてはいけない人がいるので、沼にハマらないように気をつけなければいけません。
失敗を失敗だと思わないことも大事。自分が一歩踏み出したところで何かが起きたとしても、失敗だと思わずに「良い勉強になった」と思って次のステップに進む作業は自信に繋がると思っています。
――迷った時は「ワクワクする方を選ぶ」という。
ちゃんみな:「こっちが正解だよね」と思う方向と「やり方はよくわからないけどなんか楽しそう」と思う方向があった場合、絶対に後者を選びます。
今回の撮影でいうと、「この衣装でこのセットだったらこういうポーズが正解だよね」というみんなが想像できるような方向性ではなくて、「この衣装で足を出して髪をめっちゃ長くしてオラクルカードみたいな雰囲気にしたらヤバそう」という方向性を選びました。
HANAというグループ名を思いついた時、ワクワクする気持ちはありながら、「シンプルだし日本語だし検索しても引っかかりづらいしどうなんだろう?」という意見もありました。他にもいろいろな案が出た中で、スタッフのみんなに「結局どのグループ名が一番ワクワクする?」って聞いたら「HANAですね」という答えが返ってきた。
正解かどうかとか、批判されるかどうかではなく、自分が直感的にワクワクする方向に進みます。
(構成/ライター・小松香里)
※AERA 2025年3月10日号より抜粋

