武井咲

上戸彩とは正反対の「戦略」

 女優としての活動を控え、モデル業に仕事を絞っている武井は、ワークライフバランスにおける「戦略」という点でも成功しているのかもしれない。

「オスカープロといえば、看板級のエース女優で同じくLDHのHIROと結婚した先輩・上戸彩もいますが、武井と上戸は対照的です。23年に三児の母となった上戸ですが、家庭優先とは言いつつも出産後は常に数カ月で女優業に復帰し、ドラマ・映画にCM、司会とテレビで顔を見ない日はないほどの活躍ぶりです。上戸が子育てをしながら活躍を加速させる一方で、武井は女優に全面復帰することはない。かといって、ありがちなママタレ枠に収まって私生活を切り売りしたりもしない。一見、対照的ですが、2人は人気絶頂期にもかかわらず、結婚を許してもらった恩義を感じており、それぞれ自分たちが今できることで貢献しようとしているのではないでしょうか」(同)

 とはいえ、世間からは武井の女優復帰を望む声は多い。

「小芝風花は大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の花魁役を熱演して評価が爆上がり、剛力彩芽もNetflixドラマ『極悪女王』でライオネス飛鳥を好演し話題をさらうなど、元オスカー女優たちの活躍が続いています。視聴者はもちろん、今こそ武井の演技を見たいという業界関係者も多く、数年後の本格復帰を待ち望む声は高まっています」(前出のテレビ情報誌編集者)

 芸能評論家の三杉武氏は武井についてこう述べる。

「所属事務所は同世代の剛力彩芽さん、忽那汐里さんとともに売り出しに力を入れていましたが、その中でも当時の活躍ぶりは頭一つ抜けていた印象です。かつてのオスカープロは、これと見込んだ若手タレントの仕事を一気に増やして世間の知名度を上げて徹底的に鍛え上げる戦略を得意としていましたが、人気と実力が比例していない印象を視聴者に与え、“ゴリ押し”と揶揄されるケースも見られました。しかし武井さんに関してはデビュー直後から、華々しく活躍して視聴者がその魅力や輝きを認めていたので、そうしたバッシングを受けなかったことも大きいでしょう。3人目のお子さんが誕生したばかりですし、本格的な女優復帰はまだ先になるとは思いますが、所属事務所の後輩が活躍するドラマなどへのスポット出演やゲスト出演などはあるかもしれません」

 母親としても成長し演技の幅が広がった「女優・武井咲」を見たい視聴者も多いはず。待望の復帰を待ちたい。

(雛里美和)

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