
現代日本に生きる女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。インベカヲリ☆さんが出会った女性たちの近況とホンネに迫ります。
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久しぶりのちゃんとした食事
昼時だったこともあり、鈴花さん(28歳/仮名)とは、喫茶店でハンバーグを食べながら話を聞くことになった。
「うわあ、美味しそう。久しぶりのちゃんとした食事です」
アルバイト生活で、あまりお金はないらしい。スッピンに着古したトレーナー。髪もあまり整えていなそうだが、見た目に頓着しないところもキャラに合っている。
鈴花さんと最初に出会ったのは、約2年前だ。当時は役者をしながら高円寺の安アパートに住んでいたが、現在は栃木県にある妹の家にいるらしい。といっても、あるときは演劇祭のスタッフをするため富山県に2カ月間滞在したり、その後は鳥取県に移動して10日間滞在したり、その前年には、日本で数人しかやっていないという珍しい楽器の演奏パレードに参加するためヨーロッパ南西部へ出かけたりもしていた。
つまり、鈴花さんは常に転々としながら暮らしているタイプなのだ。
同じ場所にいられない
「時の流れが速すぎて、1年前のことも5年前くらいに感じる。なんか、1カ所にとどまっていられないんですよね。いろんなところに行きたいし、同じ場所にいられない」
この日も舞踏の稽古のため、都内にある知人宅に10日間ほど居候していた。居候生活もまた、鈴花さんの習慣のようだ。
「1年前くらいだったかな。愛知県で行われる演劇講座の案内を見かけてビビッと来たんです。『私は絶対にこれを受ける』と直感したから、すぐに応募して、新幹線を予約して、愛知に就職した友達の家に4日間居候させてもらう約束をしました」
ところが参加希望者が多く、書類選考で落ちてしまったらしい。だが、鈴花さんは強気だった。
「私は絶対に行くと思っていたから、新幹線の予約も取り消さなかったんです。そしたら開催1週間前になって『キャンセルが出たので、参加できますか?』って連絡が来て、『全部予約済みなので、すぐに行けます!』って即答したら、向こうも驚いていました」
随分と積極的な人生だ。そう言うと、鈴花さんはキョトンとした顔で言った。