今季からオリオールズでプレーする菅野智之(USA TODAY Network/アフロ)
この記事の写真をすべて見る

 巨人からオリオールズへ移籍した菅野智之の評価が高まっている。35歳右腕の渡米には賛否両論もあったが、キャンプから全盛期を彷彿させる投球術を発揮。夢を追い続ける「オールドルーキー」の今後に注目が集まる。

【写真】イチローだけじゃない!MLBの年金額「満額支給」の日本人選手がこちら(ほか3人)

 菅野は2月26日のオープン戦で初登板し、2回を2安打無失点に抑えた。「メジャーリーグの打者と対戦する準備ができていることを最初の試合で証明した」とMLB公式サイトがベタ褒めするなど、米国初登板から「らしさ」を十二分に発揮している。

「菅野クラスの実績がある投手は、何をしないといけないかわかっている。開幕へ向けて自身のペースを崩さないようにしながら、自己紹介代わりに持ち球を披露した。『さすが』の一言しかない」(巨人関係者)

 決してフルスロットルの投球ではなかったが、真っ直ぐは最速93マイル(約150キロ)を記録し、6種類の変化球を投じた。ブランドン・ハイド監督からは「エリート級の制球」と持ち前のコントロールを高く評価された。

「マウンド上の表情が明るく感じた。オープン戦と言えども夢見た舞台に立てた喜びを噛み締めているように見えた。投球技術とともに気持ちを大事にする投手なので、さらにレベルアップする可能性は高い」(巨人OB)

 NPB通算136勝、最多勝と最優秀防御率を4度、沢村賞を2度受賞という実績を誇る菅野。ここ数シーズンは苦戦も目立ったが昨季は24試合に登板し、15勝3敗、防御率1.67をマークしてリーグMVPを獲得した。年齢的な不安もあるが、日本での実績を考えればメジャーでの活躍を期待されるのも当然だ。

「これまで何度もメジャー挑戦のチャンスはあったが叶わず、年齢的にもNPBで現役を終えると思われていた。リスクを犯してまで渡米したのは、菅野本人の思いが本物で覚悟を感じる」(スポーツマーケティング会社関係者)

 2020年オフにはポスティングでのメジャー移籍を巨人が容認したが、コロナ禍も影響して契約合意に至らず残留した経緯があった。今回の挑戦に対し、「日本ハムから2011年にドラフト1位で指名されても浪人して翌年に巨人入りを果たした意志の強さを思い出した」と語る関係者も多い。

次のページ
今季のパフォーマンス次第では…