ICT(情報通信技術)

 韓国は、ICT産業のグローバルリーダーとしても知られている。ICT普及度は世界でもトップクラス。インターネットの世界普及率やモバイル通信の利用率はいずれも99%で世界1位だ。ハードウエアでも、半導体は「世界半導体ICメーカー」の国別シェアでアメリカに次ぐ存在、サムスン電子はスマートフォン分野で世界シェアをアップルと分け合うなど、確固たる存在感を示している。

 さらに、この分野で韓国が強いのは、半導体やスマホなどで世界トップクラスのシェアを占めるメーカーを有するとともに、ポータルサイトやSNSなどのサービス分野でも成功していることだ。

「ネイバー」「カカオ(旧ダウム)」の2大ポータルサイトが競い合いながら発展し、当初、トップシェアを誇っていた「ヤフーコリア」は2012年に撤退。メッセンジャーアプリでは「カカオトーク」が韓国内では国内最大シェア、またネイバー提供の「LINE」が日本で大成功している。

 教育の分野でも早くからICT化に取り組み、2015年から小中高校でデジタル教科書を導入。2025年からは国語・英語・数学・情報の各教科で人工知能(AI)技術を搭載したデジタル教科書の使用が始まるという。

 デジタル人材の育成という点でも、小学校で情報に関するモラルや倫理意識を教え、プログラミングを体験。中学校では簡単なアルゴリズムの開発を、高校ではアルゴリズムやプログラムの設計を学ぶという。

コンテンツ

 韓国のコンテンツ産業に今日の隆盛をもたらすきっかけとなったのは、金大中政権下の1999年に制定された「文化産業振興基本法」で、コンテンツ産業を国家戦略産業として位置づけたことだ。

 現在、韓国政府は2027年までの具体的な目標として、

1)映像コンテンツ産業の市場規模40兆ウォン(約4兆円)の実現
2)映像コンテンツの輸出額18億ドル(約2700億円)達成
3)エミー賞・アカデミー賞などを受賞するグローバルキラーコンテンツ5本の創出

 の3つを掲げている。実際、映画「パラサイト 半地下の家族」のアカデミー賞4冠、ドラマ「イカゲーム」のエミー賞6冠など、この目標は着実に達成に近づいている。

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輸出規模の7割を占める分野は