
米大統領選挙でトランプ候補が勝利した昨年11月、米国市場はポジティブに受け止め、株価は一時上昇した。トランプ政権の掲げる政策について、株式コメンテーターの岡村友哉氏は「アメリカ市場にはプラス、日本市場にはニュートラル」と話す。今後、日米のマーケットはどう動くのか?
大統領選挙後はテック株の株価が上昇
昨年、米大統領選挙でトランプ優勢とのニュースが流れると、米国の株式市場は鉄鋼や化学などの景気敏感株を中心に、上昇トレンドに乗った。選挙時の公約を受けてエネルギー株や金融株にも買いが集まったが、岡村氏によると、「その動きは長く続かなかった」。12月に入ると、ダウ工業株が約50年ぶりに10日続落するなど、米国市場では売りが広がった。
そのなかで面白い動きを見せたのが、テック株だ。大手IT系企業のトップが祝辞を送るなど、トランプ氏の就任を歓迎する動きを見せると、投資家の注目が集まり、株価は上昇した。
「特に、電気自動車大手テスラCEOの『イーロン・マスク氏を閣僚に起用』という報道が流れると、テスラ株は高騰し、そのまま年末を迎えました。ただ、トランプ政権の政策でテック株にのみプラスに働くものはないため、いったんは落ち着きを見せるでしょう」(岡村氏)
米マーケットにとってはプラスに働く
トランプ大統領が2025年1月の就任時に掲げていた政策と、岡村氏が予想する日米マーケットへの影響は以下のとおりだ。
こうしてみると、両国のマーケットにプラス・マイナスに働くものが入り交じっているのがわかる。
例えば、アメリカでは格差是正のために減税政策が必要とされているが、これは国内の内需を活性化させ、投資に回る資金を増やすことになるだろう。アメリカのマーケットが活性化すれば、日本の株式にもポジティブな影響があると考えられる。
「国の財政赤字は広がりますが、企業目線や国民目線でいえば、減税はプラスでしかありません。消費が喚起されれば、企業の設備投資も進みます。日本では長くできていないことで、うまく経済がまわりそうです。ただし、経済が活性化すれば、将来的にはインフレが進む可能性もあります」(岡村氏)
そのほかの政策について米国市場への影響を見ていくと、関税政策は製造業の保護につながるが、企業の仕入れコストが上がるのでニュートラル。移民対策は人件費が高騰するので企業にとってはマイナス(コスト増)に、エネルギー政策はガソリン代などが下がって企業にとってはプラス(コスト減)につながるというのが、岡村氏の考えだ。