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兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)の委員だった兵庫維新の県議2人が、委員会の非公開データや一部の委員を中傷する文書を、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に提供していたことがわかり、委員を辞職した。提供したのは斎藤元彦知事が失職し、再選を目指していた知事選のさなかで、データは斎藤氏を応援する立花氏によって拡散され、選挙に影響を与えた可能性が高い。
【写真】立花孝志氏に非公開の委員会のデータを渡した増山誠県議
兵庫県では昨年3月、斎藤知事らの数々の疑惑が元県民局長によって内部告発され、県議会は百条委員会を設置して問題の追及にあたってきた。9月に県議会は全会一致で斎藤氏の不信任を決議し、斎藤氏は失職。10月31日に斎藤氏が出直しを求める知事選が始まった。
知事選には立花氏も立候補したが、自らの当選ではなく斎藤氏を応援する異例の「二馬力選挙」を展開した。そのなかで立花氏は、知事を失職させた「黒幕」は百条委員会委員の竹内英明県議だなどという情報をSNSなどで拡散させた。
AERA dot.の取材に竹内氏は完全否定していたが、竹内氏はSNSなどで集中的に誹謗中傷を受けることになった。11月17日に斎藤知事が再選を果たした翌日、「家族を守るために」と竹内氏は県議を辞職、今年1月に亡くなった。自殺とみられている。
立花氏は、竹内氏を「黒幕」とした根拠は、百条委員会の副委員長で維新県議団の団長(12月に辞任)だった岸口実県議から受け取った文書だと主張した。
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これを受けて日本維新の会が調査し、2月19日に岩谷良平幹事長は、
「政治倫理上、問題がある軽率な行為」
と調査内容を明かした。
それによると、岸口氏は昨年11月1日に他の民間人とともに立花氏に文書を渡す場にいたことを認め、「自分が手渡したと言われても反論のしようがない」と話したという。