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――アルバムにはモーターヘッド(ハードコア、スラッシュメタルに多大な影響を与えたイギリスの伝説的バンド)の「Ace Of Spades」のカバーも収録されています。
モーターヘッドはもちろん好きよ、そこまで傾倒していたわけではないんだけど、去年のフジロックで池畑潤二(Dr)とのセッション(ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA)で、「Ace of Spades」を歌わされて。改めて歌詞を読んで、自分勝手に解釈してみたんだけど、シビれちゃったんだよね。負けだとわかっていても戦う姿勢、自分自身を賭けて生きる姿が歌詞に出ていて、めちゃくちゃカッコいいなと。
――アルバムのタイトル「viraha」は、ヒンディー語で「離れたことで初めて気づく相手の大切さ」という意味。この言葉を選んだのはどうしてですか?
自分の気持ちに正直になってきたというか。たとえば死という概念に対して難しい言い方じゃなくて、「どうしても説明できない、この悲しい気持ちは何だろう?」と単純に考えるようになったり。自分のなかにある哀愁や慈しみがどんどんデカくなって、それを内包する言葉を探したんだけど、日本語や英語では見つからなくて、世界のいろんな言語に目を向けて……。言語辞典って、高いんだよ。「アイルランド・ゲール語辞典」なんて3万円くらいしたんだけど、結局そこからもタイトルは見つからなくて(笑)。最後に行き着いたのが、「viraha」だった。
――30年バンドをやっていると、“別れ”も数多く経験しているでしょうし。
そうだね。ライブの現場で一緒になって、音を出して、メシ食って、酒飲んで。そういう経験って、めちゃくちゃ濃いんだよ。関わるたびにどんどん深くなるし、「この人とは青春時代から一緒にいたんじゃないか?」と思うくらいの関係になることもあって。そういう仲間との別れは強烈だよね。ミュージシャンが亡くなったとき、すぐにSNSで「残念です」みたいなことを投稿して、即座にいつも通り過ごせる人もいるけど、俺はそういうタイプではなくて。しばらくドヨーンとしているし。小さいときから「死んだらどこにいくのか」「なんで生きているのか?」みたいなことに取り憑かれてたし、死とか別れは、最も自分の心を揺さぶる大きいものなんだと思う。
(新アルバムにはチバユウスケさんを思いながら書いた楽曲も――。後編に続く)
(取材・文/森 朋之)
TOSHI-LOW (BRAHMAN)/1995年の活動開始以来、パンクシーン/バンドシーンで強烈な存在感を放ち続けるBRAHMANのボーカリスト。OAUのブズーキ、ボーカルも務める。バンド活動と並行し、国内各地の被災地の復興支援を目的としたNPO法人「幡ヶ谷再生大学復興再生部」の代表、さらにキャンプイベント「New Acoustic Camp」を主宰するなど、その活動は多岐にわたっている。BRAHMANとしては、2025年に結成30年を迎え、2月26日には7枚目のアルバム『viraha』を発表した。
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