筆者が以前の取材で、石丸氏のファンだという中高年層に話を聞いた際も、「政治家の支持者」というより「アイドルの追っかけ」に近い感覚で、驚いた記憶がある。
西田氏がこう続ける。
「『再生の道』の記者会見は、完全に“石丸劇場”でした。始まる前の会見キャンセル騒動から、終了後に石丸氏に向けられた批判、メディアの反応まで、すべてが石丸さんの演出ではないでしょうか。記者クラブの一件は、否定的な意見もありますが、一方で合理的だという意見も多く見られます。おそらく石丸氏は、賛否両論が巻き起こることも織り込み済みだったという印象です」
専門家「話題に残り続けることが戦略」
加藤さんのように、SNSで反応していた若者のファンが離れていくのも自然の流れだったのだろうか。
「なにも若者に限った話ではありません。“劇場型”を求めていない人にとってみれば違和感を覚えるでしょう。みなそれぞれに石丸劇場に対しての“耐性”があると思うので、ついていけなくなる人は一定数いると思います。都知事選から半年以上たった今、新たな動きで波風を立てているわけですから、ファンたちに動きがあってもおかしくはないですね」
ただ、ファンが離れることもすべて織り込み済みとなると、新党を立ち上げ、都議選に臨もうとしている石丸氏の狙いはどこにあるのだろうか。
西田氏がこう説明する。
「石丸氏からしてみれば、賛否両論ある状態を望ましい状態と考えているのではないでしょうか。そもそも、今の時代は若者に限らず、SNSで情報を取ってくることが主流です。賛否両論巻き起こるのもSNSだし、話題として残り続けるのも結局SNSなんです。自身の“ファン”が減ったとしても、話題に残り続けることに石丸氏の政治戦略の狙いがあると考えています」
(AERA dot.編集部・小山歩)
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