朝日杯将棋オープン戦決勝の対局後、インタビューに答える優勝した近藤誠也八段。右は井田明宏五段=2025年2月11日
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 注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2025年2月24日号より。

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 2月11日、東京・有楽町朝日ホールにおいて第18回朝日杯将棋オープン戦、ベスト4以上の対局がおこなわれた。優勝を果たしたのは近藤誠也八段。準決勝で佐々木勇気八段、決勝で井田明宏五段を破って、栄冠を勝ち取った。

「棋士になって10年目となる節目の年に、初の棋戦優勝ということができて、大変うれしく思います」「公開対局ということもあって緊張したんですけれども、自分らしくのびのび指せたのがよかったかと思います。先月、一つの目標でもあったA級昇級が決まったところでのこの棋戦優勝なので、今後にいかしていけるよう、さらに精進していきたいと思います」(近藤)

 近藤は名門・所司和晴七段門下。若い頃から大器として知られていた。C級1組在籍時には藤井聡太七段(現七冠)と昇級を争い、藤井がデビュー以来続けていた順位戦連勝記録(18連勝)を止めた。結果的に藤井はこのときの負けが響いて、順位戦ではこの期だけ昇級ができなかった。近藤は先日、B級1組からA級への昇級を決め、名実ともにトップクラスの仲間入りを果たした。今後は藤井とのタイトル戦での対戦なども期待されるところだ。

 準優勝の井田五段はあと1勝で「全棋士参加棋戦優勝」という規定をクリアし、六段に昇段できただけに惜しかったが、強敵を次々と下して、十分に実力を示した。

 服部慎一郎七段は準決勝で井田五段に敗れたものの、2回戦で藤井七冠に勝って、今大会を沸かせた。

「まずは将棋を立て直さないといけないなと思ってて。それから記録(史上最高勝率更新)のことはあまり意識せずに、また一局一局、次の将棋からいい将棋を指せればなと思ってます」(服部)

(ライター・松本博文)

AERA 2025年2月24日号

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