二十四節気の「雨水」は、降るものが雪から雨へ変わる頃のことです。山に積もった雪や氷がゆっくりととけはじめ、雪どけ水が田畑を潤す時期であることから、昔から「雨水」は農耕の準備を始める時期の目安とされてきました。「雨水」の時期に行うとよいとされる習わしや、この時期に旬を迎える食べ物についてご紹介します。
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二十四節気の「雨水」とは
今年2025年は2月18日が「雨水(うすい)」です。この2月18日から「啓蟄」の前日にあたる3月4日までが「雨水」の期間とされています。
「雨水」は、気温の上昇につれて、降るものが雪から雨へと変わる頃のことです。また、山に降り積もった雪や氷もゆっくりととけはじめ、雪どけ水となって川に注ぎ込みます。このため昔から「雨水」は農耕の準備を始める時期の目安とされてきました。
「雨水」と耳にしても、なかなかどんな季節かピンとこない方が多いかもしれません。前後の二十四節気を見ると、「雨水」の前は春の始まりとされている「立春」で、「雨水」の次の暦は、暖かくなって冬ごもりしていた動物たちが土の中から這い出てくる「啓蟄」となります。
春が始まり、雪から雨に降るものが変わり、動物たちが地上に這い出して来るこの時期は、春の兆しがだんだんと実感できるころです。
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「雨水」とひな祭り
「雨水」は女の子の健やかな成長を祝うひな祭りが近づく頃です。ひな人形は「雨水に飾ると良縁に恵まれる」と言われています。
もともとひな人形は、身にふりかかる厄を人形にたくし、川(水)に流すものでした。このことから「水が豊かになる雨水にひな人形を飾り始めると良縁に恵まれる」と言われています。
一般的には「立春」を過ぎたらひな人形を飾っても良いとされていますが、まだ出していないというご家庭は、「雨水」に入った日や大安などの縁起の良い日を選んで飾ってみるのも良さそうです。
ただ、一夜飾りは昔から縁起が悪いと言われていますので、ひな祭りの直前や前日にひな人形を飾るのは避けましょう。
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「雨水」の時期に食べるとよい食材は
「雨水」には特別な行事食はありません。ただ、この時期に旬を迎える食材は栄養が豊富です。
雨水の時期に旬を迎える食材の代表は、苦みがおいしい「ふきのとう」。「ふきのとう」は雪がとけ始める雨水の頃から芽が出始めます。
このため、雪の降る場所では、雪がとけて暖かくなってきた頃に見られ、雪の降らないところでは1月から3月に見ることができます。あぜ道や川の土手など、ひょっこりと顔を出した「ふきのとう」を探してみてはいかがでしょうか。
また、柔らかくて甘みのある「春キャベツ」が旬を迎えます。早いものでは、2月下旬から出回り、3月頃からが旬となります。
冬キャベツに比べると小ぶりで、ふんわり柔らかい触感が特徴です。甘くてみずみずしいため、サラダになど生でも美味しくいただけます。
また、「ハマグリ」はひな祭りや結婚式などお祝い事には欠かせない縁起の良い貝で、雨水の頃から旬を迎えます。この時期のハマグリは産卵に向けて栄養をたっぷりとたくわえて、美味しくなります。ハマグリは二枚の貝殻がぴったり重なることから、夫婦円満の象徴であり、縁起の良い食材とされています。「ハマグリ」のお吸い物はひな祭りのお祝い料理としても定番となっています。
これらの旬のものを食べて、本格的な春を健康に迎えたいですね。
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「雨水」は春が近づく頃 天候の注意点は
「雨水」の期間は、冬と春を交互に行き交いながら、徐々に春本番へ近づく頃です。この時期は真冬のような強い冬型の気圧配置は続きにくくなり、日本付近を周期的に低気圧が通りやすくなります。低気圧が通るときは、気温上昇に伴って、本降りの雨となる日もだんだん増えていきます。まだ一時的に強い寒気が南下して雪の降る日もありますが、雨水のころからは雨の情報にも気を付けてください。
また、「三寒四温」という言葉がありますが、春先は暖気と寒気が交互に流れ込み、寒暖差が大きいことが特徴です。特に低気圧の通過する前と後で、温かくなったり、寒くなったりと、これまでよりも気温の変動が大きくなります。
日々の寒暖差に気を付けながら、本格的な春の訪れを待ちましょう。
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