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夫にも話を聞くと、「カバンを置く場所がほしい」とのこと。玄関に棚を設置して定位置にすると、リビングに出しっぱなしだったカバンをきちんと置いてくれるように。
「ずっと置きっぱなしをイヤだと思っていましたが、話を聞くと解決策が見つかるものなんですね」
ちゃんと考えて定位置を決めると、夫も子どもたちもきれいな状態をキープしてくれます。決めるときに重視したのは、動線です。モノを出したり戻したりする際に、家の中の動線上に定位置があるとスムーズで散らかりにくいからです。
「リトミックに使う楽器や道具は2階に保管していましたが、教室のたびに階段を3往復くらいして外に運び出していました。でも、動線で考えれば1階にあった方がいいので、1階のクローゼットの不要物を手放してスペースを確保しました」
こうして片づけが完了すると、家族みんなが快適に生活できる家になりました。
片づけには、「いつ、どこを片づけるか」というスケジューリングや家族とのコミュニケーションが大切です。彼女は片づけを通して学んだことを、仕事にも生かし始めています。
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「今では、教室の準備も余裕を持って終わらせられます。生徒たちへの指導も、一人ひとりの気持ちや事情に配慮しながら声かけができるようになりました」
また、片づけによって意外なメリットも生まれました。長年放置していたハープが出てきたのでリビングに置いたら、生徒たちに大好評。ピアノに疲れたときのいい気分転換になっているそう。
「片づけって、家がきれいになるだけじゃないんですね。予期しないおもしろいことも起こるなぁって」
確かに、片づけにはいろいろな副産物があると思います。片づけの悩みがなくなった彼女の明るい笑顔もその一つ。ただ、それは何もしなくて得られるものではありません。彼女が未来を変えようと願い、実際に努力して動いた結果なのです。
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