私たちが創業時に「専業禁止」を掲げた時には、10年も経てば副業が当たり前の社会になり、会社と個人の関係も大きく変わっていると思っていました。しかし、現実はそうなっていません。いまは副業する人が二極化していると感じます。高収入の層は顧問やコンサル的な仕事、低収入の層はスキマ時間に飲食店などのアルバイト、といった具合に差が生じる一方で、中間層は副業に関心はあっても動く人は意外と少ない。「副業解禁」を掲げる企業は増えましたが、副業や兼業の意義を積極的に見いだそうとする会社は少数派です。そしてまだまだ大企業の社員に多いのが、キャリア形成も会社に依存しているタイプです。個人側の「自律」も求められています。

 シニアに人気のあるコンサルや講師といった業務やIT分野は、これからますますAIに置き換わっていくでしょう。社会がアップデートされていくスピードが速く、経験や知識がどんどん古くなり、シニアは逆にアンラーニングしなければいけない時代になっています。そういう意味ではシニアはコンサル系の副業よりも、今後は「体を動かす仕事」のほうが相対的に経済的対価も上がり、健康にもいいのでお勧めです。ボランティア活動などで体を動かす社会貢献を通じて自身の精神的な充実を図るのもよいと思います。

(構成/編集部・渡辺豪)

AERA 2025年2月10日号

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